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2010年11月13日 (土)

21世紀における高等教育の国際展開

早稲田大学のシンポジウム「21世紀における高等教育の国際展開」に出てきました。

第一部は、林芳正先生(衆議院議員、元防衛大臣、元経済財政担当大臣)、寺澤芳雄先生(エッセイスト、元Nomura Securities International 会長)の基調講演。両先生ともgood command  of English をお持ちですが、それにもまして強調されたのは、ひとつの正解がないような問題についてソクラテス流の議論することで論理的思考を養うこと、英語の流暢さよりも、自分はなにを、どう考えるか英語で言えることの重要性であったと思います。

第二部は、私はじめ、中国、韓国、EUからのパネリストによる発表とパネルディスカッション。

私の発表は東アジアサミット高等教育協力シンポジウムで行ったものをベースにして、特に、学生さん、先生向けのメッセージとして以下の点を追加しました。

・とにかくまずは短期間でも外国に出ること。早稲田大学の国際教養学部では日本人学生は1年間の留学が必修になっているが、そうでない大学、学部でも、短期間でも外国に出るのを教育課程に組み込んでほしい。
・外国に出たら、大学の中だけにこもっていないで外にでてほしい。向こうの学生といっしょにボランティアやるのもいい。とにかく行った国の人と社会を生で知ってほしい。そうすると、日本、日本人とは何か、どこがいいところか自分なりに考えるようになる。外国では、あなたは日本、日本人の誇りは何か必ず聞かれる。そのとき、教科書に書いてあるとおりに言おうなんて考えないで、はっきり自分の考えで言うこと。これができないと、いくら英語がうまくてもつならない人と烙印を押される。
・日本の若者が内向きだと言われる中、当然自ら積極的に留学している学生もいるし、休学してまで外国に飛び出していってすばらしいボランティア活動をやる学生もいる。後者のrole modelは早稲田にもいる。バングラデシュでドラゴン桜をやった税所さんだ。大学は、そういう学生たちをもっと社会や高校生に見えるようにしてほしい。また、海外に出て行きやすい環境を作ってあげてほしい。休学中の学費もそのひとつ。大学によっては休学中でもフルに学費をとるところもあると聞く。それでいいだろうか。
・日本に来ている外国人学生ともっと交わろう。これも国際化を進める重要な方策。
・これからは、日本の会社に入って、ずっと日本で、日本人とだけ接して一生を終わるなんていうことはなくなっていく。大学出るまでには外国、外国人と実質的に触れ合う経験を持とう。まずは短期、少人数でも外国に出て行くことを始めよう。いま始めないとJapan nothing になってしまうのではないかと危機感を持っている。みんなでがんばりましょう。

他のパネリストの発表で興味深かったこと:

北京大学教育学院のCheng Xiangming教授は、中国の大学の学部課程での英語による教育について発表がありました。政府方針で財政支援をして進めているが、985計画や221計画の対象になっている一部の大学に集中していて、省の管轄下にある大学について手薄になっていることなど課題の指摘もありました。

韓国金融監督部東京代表のSeong Su Yongさんは、韓国の金融業界での例から、企業側では英語ができる韓国人へのニーズが高まっていること、TOEFLのスコアーがあがってきている、英語学習熱が高くなっていて、大学生のうちに語学研修に行く学生が多い、さらには、小さいうちから母親が付き添って何年も外国に英語の勉強に行くことも始まっていると報告があった。そのとき、年に一回くらい妻子のところに飛んでいける夫を「雁パパ」、何度も行ける経済的余裕がある夫を「鷲パパ」、経済的に余裕がなく飛んでいけない夫を「ペンギンパパ」と呼んでいるという面白い社会現象の紹介もあった。

韓国Hallym大学のKim Shin Dong教授からは、豊富な数値データを用いながらアジア地域の留学生の動きについて興味深い報告があった。
・留学生送り出し国ビッグ3は、中国40万人、インド15万人、韓国10万人。人口規模考えれば韓国ではいかに留学熱が高いことか。
・中国では、高校までの収容力に対して大学の収容力が低いこと、一人っ子政策の影響、経済成長などで海外に留学させられる家庭が増えていくことなどで、今後30年ほどは日韓両国にとって中国人留学生はおいしいmarketであり続けるだろう。
・韓国に来る留学生は2003年の1.2万人から2007年には4.9万人と5年で約4倍。6割は中国から。さらに、日本の30万人計画に刺激されてか、これを2012年には10万人にしようとしている。
・韓国でも英語での教授のニーズは高まっているが、外国で教えた経験がある韓国人教員でも、韓国のdomesticな環境ではuncomfortable。

駐日EU代表部広報文化担当のVareille Marie-HerleneさんからはErasmusu計画、Erasmus Mundus計画の説明がメインでしたが、最後に日本-EUのbilateral協力の紹介があった。日本側、EU側それぞれ半々の費用負担で、それぞれ数校の大学の特定の分野間で学生の相互交流をするもので、面白い計画だなと思いつつスライドを眺めていたら、「2010年は日本側の予算不足で組めませんでした」と。 ガーン! 予算カットの影響はこううところにも出てきているかと残念。

Chen教授、Kim教授が政府の政策・施策の問題点などを指摘してましたが、かなり定量性のあるevidence-basedの議論であるところが、すごい。日本の先生も、感覚で言うのではなく、そういう人増えてほしいです。

このあとパネラーがそろって壇上に上がって、フロアーからの質問に答える時間となったのですが、ここまでの発表が私含め時間超過気味で、私はもうそろそろ早稲田を出て、東京駅に向かわなければならない時間。残念ながらパネルディスカッションは失礼せざるを得ませんでした。残ってくれた同僚からの報告では、Kim先生の独壇場の展開だったそうです。

今回のシンポジウムを企画・運営された早稲田大学国際教養の飯野公一先生、ご苦労様でした。私にとっては、近隣国の大学の先生が、英語による教育や、留学生の動きをどう見ているか、またそれをどのようにプレゼンするか、直接見聞できたことは大きな収穫でした。

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