北京大学教育学院で、日本の大学改革について講演
9日、北京大学の教育学院で日本の大学改革について講演。ここの高等教育研究センターの馬万華 Ma Wnahua 所長からの依頼に応えたもの。馬センター長とは、10月の中国国際教育交流協会のEducation ExpoでのForum の International Students Mobolity に関するセッションでご一緒。
聞いてくれたのは、馬センター長の仲間の教員や院生のひとたち。日本の大学に短期間研究に行ってたことがあるという人も多かった。
日本の大学改革の話をするにあたっては、まず、日本の大学システムについてのfactから、説明に入るようにした。規模感、国公私の比率(大学数、学生数)、収入構造、国立大学法人化(特に第一期が終わっての検証結果、私立大学の経営状態など。その上で、機能分化、体系的教育、質保証、情報公開、国際化の5つのテーマで改革状況、今後の課題を説明。最後に学生の状況(経済的、就職)にも触れた。<講演資料はこちら>
資料の最後には、9月の日ロ学長会議で濱口名古屋大総長が行った基調講演に入っていた、Go Yoshida先生作成の" The World's Trends in Higher Education"も付けた。馬センター長はじめ皆さんから、「本当にその通りだ」と、大変高く評価されてました。
質疑を含めて、予定を30分以上上回る講演でした。皆さんの関心事としては、
・国立大学が法人化してどう変わったか
・最近の予算削減などで、教員の構成がどう変化しているか。有期雇用の教員が増えるとじっくりした研究をやらなくならないか。若手教員にばかり負荷がかかっていないか。
・自民党から民主党に政権が変わって自民党時代に始まったイニシアチブ(留学生30万人計画、Global 30など)は影響を受けていないか
・大学の情報公開は最近の政府系の情報公開一般に比べてどうか
・日本の大学は海外大学とのjoint vebtureにはどんな方針なのか
などでした。
就職に関しては、この春の最終内定率91.8%は就職氷河期以来2番目に悪いことも紹介したが、中国の68%に比べて、「そんなにいいの?」という反応でした。
今度は、中国からも誰か来て、大学をとりまく全体像の話をしてくれるとよいと思う。大学間交流をやっていく上では、質保証については最低でも必要だし、やはり大学を取り巻く全体像について相互理解深めておくことは重要だと思う。
聞いてくれた人の中には、馬センター長との研究仲間で、オーストラリアのメルボルン大学高等教育研究センター(Centre for the Study of Higher Education) のsimon Mariginson 教授もいらっしゃた。東大にもちょうど法人化の2004年に短期滞在したことあるとのんこと。最近は東アジアの大学を訪問して状況把握しているそうで、講演前に短時間お話したが、東アジア各国の高等教育・大学の状況を、それぞれone sentenseくらいでクリアーに性格づけしているのには驚いた。特に、ある国では、大学が非常な財政難で教員もろくに給与をもらえず、2-3件の兼職をしないと暮らしていけない状態で、惨憺たるものだとの話があった。そういうことは政府の行政官と話していても出てこない。こういう人を情報源に持つことも大事だ。
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