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2011年1月10日 (月)

博物館、美術館には、ウェブ時代、グローバル化時代のパラダイムシフトがあってもいいのでは?

9日、国立歴史民俗博物館に行ってきました。千葉県佐倉市にあります。

なぜに行ったのかということです。昨年12月18日の、九州大学韓国研究センター創立10周年記念行事。来賓でお見えになっていた、NPO法人辛基秀と朝鮮通信使を研究する青丘文化ホール理事長の姜鶴子さまと二人のお嬢様を、松原孝俊センター長にご紹介いただき話している中で、辛基秀先生が収集された朝鮮通信使を伝える絵巻物などの史料は多数あるが、佐倉でほんの一部公開されいるだけで、ウェブを使うなりしてもっと多くの人に見てもらいたいというお話がありました。そのときは、「佐倉っていうのは?」などとまったく素人の質問をしてしまいました。(歴史民俗文化博物館なるものが佐倉市にあることも知りませんでした。)

最近では、絵巻物の展示だけでなく、天井から吊るされた大きなモニターに映し出しているが、こく一部だけだというお話だったので、どのようなものなのか見てみようと、3連休で時間もできたので、行ってみたというもの。

今回は、この朝鮮通信使絵巻を見るのが目的なので、入館したら、まず第3展示室-近代-に直行。展示室に入ってすぐにあると伺ってました。なるほど天井から大きなモニター。しかし映し出されるのは、朝鮮通信使の行列の中心部をゆっくり数分間パンするもの。別途、卓上設備で、絵巻のどこでも希望するところを拡大、縮小して、解説つきで見ることもできますが、来館者が絵巻全体を見てみるなどは時間的にも、姿勢的にも無理でしょう。

この展示室をじっくり見ました、歴史的資料からも、新たに作った模型など(江戸の日本橋、江戸橋周辺のジオラマ、北前舟など)からも、当時の日本人たちの生き生きとした暮らしぶりが伝わってきました。ここに飾っておくだけなのはもったいないと感じます。この場所だと、年間どれだけの人が見に来れるのでしょう。朝鮮通信使の絵巻もそうですが、ウェブで見られるようにすることは重要だと感じました。教育現場の電子化とも連携すればいいですね。また、この博物館は当然歴史研究成果を知らせるというのも任務としてあるのでしょうから、論文にするだけでなく、ウェブを通じて国内外の市民・マスコミにもどんどん発信したらいいと思います。日本がどんな国か(過去、現在、未来)を世界に発信することは、グローバル化する中で存在感を出す上でも重要だろう。

博物館も、美術館も、展示されているものは収蔵品のごく一部と聞く。ウェブ発信することで多くの収蔵品について情報発信できでしょう。そうすることで歴史・美術研究だって進むのではないでしょうか。また、何より、日本国民が、自分たちはどこから来たかに関心を持ち、知り、外国人に日本の何がいいか聞かれても、一人一人がそれぞれの思いで語れる基礎になるでしょう。これは実はグローバル化の時代には大変大切なことだと思うのです。自らの文化・国について自分なりに語れることなしに、異文化理解できますなどと言ってみても、向こうはパートナーとしては見てくれないでしょう。ウェブ時代の博物館、美術館にはパラダイムシフトがあって然るべきと感じました。つまり、そこに行かない限り、見られない、知れないというのは、もうどうかなということです。もちろん現物を見ること(とくに芸術品の場合)の重要さを否定するものではありませんが、ウェブである範囲までは見られる、知れるようにというのは、そこまででもまったく見ない、知らないよりは、刺激をうけたりする人がいるわけだし、本当に現物を見たい人を増やすことにも繋がるのではないでしょうか。

なお、このブログを書きながら辛基秀先生について調べたところ、日韓友好のために、さまざまな形で情熱的に取り組まれていたことがわかりました。一番よく表されていると感じた一文を紹介させていただきます。ジャーナリストの上野俊彦さんが書かれた『辛基秀と朝鮮通信使の時代 韓流の原点を求めて』の「序にかえて」です。辛基秀の崇高な理念に改めて敬意を表します。

さて、この歴史民俗博物館、京成佐倉駅から徒歩15分くらいと書きましたが、かつての佐倉城のあった城址公園の中にあります。佐倉城は天然の丘を活用した土塁で防護された城だそうです。この公園、起伏にしても、木の植わり方にしても、ゆったりした感じでいいです。(個人的には、この一帯の丘がいつごろ、どうやってできたのかも関心があります。海岸段丘かな?) 桜のシーズンなどよさそうです。行ったことない方、ぜひ一度訪れるといいと思います。私も、今度は、別の時代の展示をよく見てみたいです。


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