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2011年3月 8日 (火)

フィールド調査でどこへでも、バンコクの日本人留学生

京都大学とASEAN大学ネットワークのワークショップ"Building Academic Partnership through Collaboration and Exchange"に出席するため、バンコクに来ています。

きょうは、バンコクにいる日本人留学生との懇談。京都大学東南アジア研究所駐在員事務所の星川圭介先生、今回のワークショップの準備に当たってきた京都大学エネルギー科学研究科の園部太郎先生が、声をかけて集めてくださいました。7人来てくださいました。

多くは、地域研究をしている大学院生さんで、現地調査のためにこちらに来ているということ。水上マーケットの研究をしていて、バンコクからバスで片道3時間の海辺の町から来てくれた院生さんもいます。現地では水上マーケットの家に住み込ませてもらい、寝食をともにして調査しているそうです。その他にもバンコクから離れた地方で調査されている人が多かったです。調査の計画も独力で立てて、どこでも一人で分け入っていく行動力をお持ちです。

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みなさん、博士論文の研究の全体スケジュールの中で、どのタイミングで現地調査を入れるかに苦慮されているようでした。京都大学東南アジア研究所の柴山守教授も同席してくださいましたが、昔はこれはと思う学生には、現地に数年どっぷり漬からせて研究させたものだが、最近は早く博士を取らせたい、取りたいという、教員、院生双方の意志で、じっくり現地での研究が行いにくくなっているということでした。

奨学金、とくに民間財団からの給付制のものが大きな支えになっているいう声も多く聞かれました。大学の事務の方や先輩がそういう奨学金の存在を教えてくださるそうです。日本での修士課程時代にJASSOの貸与制の奨学金を借りて、今はオーストラリア国立大の博士課程に在学しながら自ら得た収入でJASSOの奨学金を返しているという院生さんもいらっしゃいました。ちなみに、オーストラリア国立大に必要な経費は、その大学の日本人卒業生が作った奨学金をいただいているそうです。得られるのは毎年一人という価値の高い奨学金です。

なお、奨学金やその他の資金援助の関係では、いろいろと考えさせらる、次のようなご意見をいただきました。
・日本からの留学生に支給する民間財団の奨学金は、応募資格が国内にいることとしているものが多い。海外に出てしまっていると申請できない。
日本学術振興会の特別研究員制度では、支給期間のうち海外にいていい期間が半分までで厳格に運用される。海外調査が多い研究生活だと、思う存分海外調査できない。
・仕分けの影響で、GPものから海外調査に使える予算が急減している。東南アジアは単価が低いから、まだなんとか来れるが、南米・中東などには行かれなくなっている。

また、外国の大学で博士課程を修了するような形で外国に出てしまうと、欧米ならまだしも、他の地域では出た先の大学のことが国内でよく知られていないなどで、帰国後のポストの競争で不利という意見もありました。

きょうは、そもそも海外に出ているし、しかもフィールドワークなどで、どこへでもずんずん入っていく積極的な学生さんからの話でしたが、諸制度が足かせになっているところもあるのではないかと感じさせられました。もっと海外に出て行くのを促進しようとするならば、こういうところの見直しも欠かせないと感じました。

さらに、日本の国費留学生の経験を持つタイの方も一人お見えになりました。日本留学経験者がタイ社会でどう活躍しているかを調査されいるそうですが、最近の日本への留学生は、学位をとるため勉強ばかりに専念し、日本社会を知らないで帰ってきていると懸念されていました。

このように、きょうも新しい側面に目を開かれた時間でした。みなさん、お忙しい中、お越しくださりありがとうございました。

なお、今日集まった皆さんはじめ、月に一回、タイに来ている留学生で集まり、どんな活動をしているか発表し合い意見交換する、「バンコク・タイ研究会」を開いているそうです。違う分野の人から意見をもらえるのが非常に有益ということでした。そうです、違う角度から同見えるかは大変重要です。さらに発展していくことをお祈りします。


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